11月16日は韓国大学受験の日、ストップされるサービス注意
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スヌン(大学受験)の日:韓国では、国全体で受験生を支援
熾烈な受験競争で知られる韓国では、毎年、日本の大学入試センター試験に相当する大学修学能力試験(スヌン)の日になると、試験会場周辺で交通規制が行われるなど、受験生に最大限、配慮した一日になります。
受験生が混雑などで試験に遅れないようにさまざまな機関が一丸となって協力。
韓国メディアによると、官公庁や一部企業は出勤時間を遅らせ、ソウルの公共交通機関は地下鉄やバスを増便。全国の空港では、リスニング試験中の航空機の離着陸が禁止され、文字通り「オールストップ(All Stop)」状態に入りますので、日本の観光客は注意が必要です。
出身大学が就職など将来を大きく左右する学歴社会の韓国で、修学能力試験は国民的行事です。
遅刻しそうな受験生を警察官がパトカーや白バイに乗せて急行する場面は、毎年恒例の光景です。
韓国では修学能力試験の日の風景として見慣れているかもしれませんが、国中が一日中受験生のために協力するのは、世界中どこも探しても見られない光景です。
そこで、修学能力試験をめぐって繰り広げられる光景を集めて、ストップされるサービスを紹介します。
・飛行機の離着陸禁止
写真提供:Flight24、英語聞き取り能力試験の際はすべての飛行機の離着陸が禁止される
国土交通部は、昨年も飛行機の離着陸時の騒音を規制するため、修学能力試験日の午後1時5分から1時40分までの35分間、航空機の離着陸を禁止しました。飛行中の航空機は管制機関の統制を受け、地上から3km以上上空で待機しなければなりませんでした。
この時に飛行機の予約をした方には遅延になる可能性がありますので、注意が必要です。
国土交通部のこのような指針は、米国連邦航空局(FAA)を通じて「NOTAM(NOTice to Airman·操縦士お知らせ)」として全世界に共有されました。
・受験生の移送特別作戦・・・警察、消防車にタクシーまで
遅刻や受験票紛失など、試験当日に受験生が直面しうる突発的状況を最小化するため、数万人の警察と消防署員が大量に投入されます。
一度試験が始まると、再試験は不可能だからです。
校門が閉まる直前にパトカーから降りて受験会場に駆けつける受験生の姿は毎年話題になります。
また、公共交通機関の便も大幅に増えます。
ソウル市はバスと地下鉄の運転間隔を縮める措置を取り、タクシーも追加運行し、受験会場近くの地下鉄駅とバス停に民・官用車両およびバイク数百台が受験生のために待機します。
この時はすべての交通が受験生のために動くので、日程にご注意ください。
・韓国金融市場も、いったんストップ
1分1秒の差で数億ドルが行き来する金融市場も、修学能力試験日の1日だけは受験生を配慮します。
韓国取引所は、取引開始時刻を1時間遅らせ、午前10時に開場します。受験生たちが試験会場に行く交通を邪魔しないための措置です。
銀行連合会も「受験生と監督官、保護者などの移動により交通需要が急増すると予想される」として午前9時から午後4時までの銀行営業時間を、午前10時から午後5時に変更しました。
官公庁だけでなく、一部の民間企業も出勤時間を1時間遅らせるところがあります。
・出題委員たちも約1か月間「監禁生活」
修学能力試験の出題・検討委員とセキュリティ・医療・調理などの管理スタッフ数百人は、修学能力試験が完全に終わるまで一つの宿泊施設で合宿生活を行います。合宿施設の場所は、外部に公開されず、場所も毎年変わります。携帯電話やFAXなど、外部と連絡することができる通信手段は使用できません。試験情報の流出を防ぐための措置です。
試験情報を書いた紙を外に投げて流出することを防ぐために、合宿の場所はフェンスで囲まれ、窓も網戸が固定、換気ができるだけで、開くことはできません。
出題委員たちは、出題の過程での出来事を外部に知らせないのはもちろん、出題委員に選ばれたという事実自体も通知しないという誓約書を書きます。合宿期間、外への出入りは禁止され、両親の葬儀など、緊急なケースに限り、セキュリティ要員同行の下、数日外出が許可されるのみです。
出題委員は、大学修学能力試験が終わると同時に本部で提供されたバスで合宿施設を去り、約1カ月間の「監禁生活」を終えます。
・受験シーズン名物!韓国の縁起担ぎアイテム
写真提供:Ohmynews
修学能力試験が実施される11月に入ると、韓国の街では合格祈願グッズを販売する店が増え始めます。
中でもよく目に付くのが、餅や飴。「付く」という意味の韓国語「붙다(プッタ)」には「合格する」という意味もあり、粘り気があって張り付くものを「志望校に受かるように」との願いを込めて贈ります。
また、フォークも定番。試験はマークシート方式のため、こちらは「찍다(チッタ、刺す)」とかけて、「正しい答えを刺せ!」という意味が込められています。
ドキドキの結果は約1カ月後。高2生は早くも受験戦争に突入
試験の結果発表は1カ月後。自己採点から志望校を最終決定し、休む間もなく面接や小論文など2次試験の準備に入ります。
一方、高校2年生たちは、当年度の修能が終わるや否や受験生の仲間入り。学院(ハグォン)と呼ばれる学習塾では、本格的に翌年の入試対策がスタートします。
毎年、多くの受験生が挑む修学能力試験(スヌン)。
長い努力の成果を十分に発揮し、大学進学に向けた第一関門を無事突破できることを祈っています!